1市街地の整備状況と課題(1) 整備地域等の不燃化の状況と課題都は、木造住宅密集地域の改善を図るため、整備地域において、東京都防災密集地域総合整備事業63による道路・公園整備や老朽建築物の除却などの取組を行ってきました。整備地域の中でも重点整備地域では、特に重点的、集中的に改善を図るため、2013(平成25)年度に不燃化特区制度を開始し、不燃化の取組をより一層加速させてきました。整備地域の不燃領域率64は区部全体と比較して増加ポイントが高く、不燃化特区制度開始後、改善スピードが向上するなど、不燃化特区制度等の取組が整備地域の不燃領域率の改善に寄与しています(表5-1、図5-2)。2020(令和3)年時点の整備地域全体の不燃領域率は約65.5%まで改善しています。市街地の焼失率がほぼゼロとなる不燃領域率70%を達成した整備地域は5地域となっており、更なる取組の促進が必要です(図5-3)。また、幅員6m以上の道路や100㎡以上の公園等の面積の割合を示す空地率が低い地域については、緊急車両の通行や円滑な消火・救援活動に有効な道路や、市街地の延焼の拡大を防止する公園等の一層の整備が必要です(図5-4)。不燃領域率は主に老朽木造建築物の建替えによって向上しますが、高齢世帯や建築基準法(昭和25年法律第201号)上の道路に接していない無接道敷地など、建替えが進みにくい老朽木造建築物の不燃化の促進が課題となっています。また、整備地域と併せて木造住宅密集地域についても建替え等による耐震化・不燃化を促進することが必要です。市街化区域全体を見ると、木造住宅密集地域ではないものの、防災性の向上が必要な地域や、将来、農地が無秩序に宅地化された場合に備えて、防災性の維持・向上を図るべき地域が存在します。63東京都防災密集地域総合整備事業:避難路の周辺等に不燃空間を形成し、広域的な観点から都市の防災上の骨格的ネットワークを形成する事業並びにそのネットワークに囲まれた老朽木造住宅等が密集する地域における公共施設の整備及び不燃空間の形成により総合的な防災都市づくりを□進するための事業64不燃領域率:市街地の「燃えにくさ」を表す指標。建築物の不燃化や道路、公園などの空地の状況から算出し、不燃領域率が70%を超えると市街地の焼失率はほぼゼロとなる(資料3P.101)。不燃領域率=空地率+(1-空地率/100)×不燃化率(%)空地率:{(S+R)/T}×100(%)S:短辺又は直径10m以上で、かつ、面積が100㎡以上の□面、鉄道敷、公園、運動場、学校、一団地の施設などの面積R:幅員6m以上の道路面積T:対象市街地面積不燃化率:(B/A)×100(%)B:耐火建築物等建築面積+準耐火建築物等建築面積×0.8A:全建築物建築面積耐火建築物等:建築基準法第53条第3項第1号イに規定する耐火建築物等をいう。準耐火建築物等:建築基準法第53条第3項第1号ロに規定する準耐火建築物等をいう。図5-1空地率が低い地域のイメージ(左)、□い地域のイメージ(右)61第5章安全で良質な市街地整備の方針
元のページ ../index.html#62